ナイアガラ付近ではコンクリート用の骨材として苦灰石が採掘されています。ナイアガラの滝に近いニューヨーク州の採石場ロックポートもその一つです。
グレーのドロマイト（苦灰石）の中に晶洞をつくり、このように透明な石膏が結晶しています。白い部分はドロマイトの集合結晶です。苦灰石を主成分とする苦灰岩 Dolostoneは灰色の岩石で、アメリカのニューヨーク州の苦灰岩層は海底に堆積した珪藻土由来の珪素を含んだ硬い苦灰岩の隙間にハーキマーダイヤモンド（ハーキマー水晶）が晶出しています。
一方の苦灰石 Dolomaite CaMg(CO3)2 は、炭酸塩鉱物で炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムが主成分で、石灰岩の炭酸カルシウムが炭酸マグネシウムに置き換わるドロマイト化作用で苦灰石になったと考えられています。
産地のLockport, N.Y, USA　はナイアガラ地方にあります。カナダのマニトゥーリン・アイランドからニューヨーク州へ延びる、ナイアガラ・エスカープメントと呼ばれる丘陵地の苦灰岩層から建設用の骨材を採石している鉱山が沢山あります。
ナイアガラ・エスカープメントの苦灰岩層はミシガン・ベイシンと呼ばれる地向斜の一部で、ミシガン州の Gladwin 地区を中心に、南北570km  東西513kmの同心円状に広がる地層で、同地区の地下4,267mには最大深度の基盤岩があり、堆積盆地の中心になっています。ミシガン・ベイシンの層厚は4,267ｍ。先カンブリア代の基盤岩に、カンブリア紀からジュラ紀後期までの堆積岩が2億4,300万年間にわたって堆積している地域です。この地向斜は大陸周辺部にみられるミオ地向斜に分類され、周囲の山脈から運搬された堆積物の重みで基盤岩が沈降していく状況が、長期にわたって続いて形成されたと考えられています。

和名：透石膏（セレナイト）
英語名：Selenite
産地：Lockport, N.Y, USA
サイズ：56mm x 84mm x 58mm 235g

化学組成：CaSO₄・2H₂O
結晶系：単斜晶系
色：淡い青、淡い紅、白、灰色
光沢：ガラス光沢、真珠光沢
硬度：2
条痕：白
劈開：完全
比重：2.3